新しい本、入りました

2018/10/4

「春の窓」
安房直子/著
講談社X文庫

前回入荷した絵本「きつねの窓」の作者、安房直子の短編集です。

◆丁寧につづられる主人公たちの小さな思い、その思いに寄り添うように登場する動物や木々たち。何とも言えない複雑な感情と余韻が残る安房直子の、数ある短編集のなかでも個人的に好きな作品が多く収録された文庫本です。中でも「あるジャム屋の話」「天窓のある家」をぜひ。
……安房直子の作品による絵本もいくつか出版されていますが、今回は挿絵のない短編集を入荷することにしました。そんな折、ちょうど彼女のエッセイの中で「…中略…(大学3年生のとき)そのころから私は、色彩に興味があって、色というものを言葉の力だけで、ありありと伝えてみたいと思っていました。このころ私は、童話の本に、さし絵はいらないのではないかと思っていました。絵に助けられずに、言葉の力だけで、色もかたちも、描くことができなければ、本当の書き手ではないのではないかと…。今でも、私は、基本的に、そう思っています。色だけではなくて、音も匂いも、手ざわりも、言葉の力だけで的確に描いて、読者に伝えたいと願っています。」(安房直子コレクション1/偕成社より抜粋)という文章を見つけ、自身が抱いた安房直子の文章に絵がついた絵本への、どうもしっくりこなかった違和感のようなものがとても腑に落ちたのでした。

「10才のころ、ぼくは考えた。」
下西風澄/文 浅井美紀/写真
福音館書店
たくさんのふしぎ2018年6月号

◆なぜ石や生命がこの世界に存在しているのか、この「僕」が生きている意味はなんだろうか、という問いについて丁寧に考えていく過程がつづられた1986年生まれの哲学者による
初めての写真絵本。

「対談集 絵本のこと話そうか」
松田素子/編
中央出版株式会社

1990年に刊行された「素直にわがまま」の復刊本。
絵本作家、小説家、詩人、編集者ら18人による対談集。