2017/9/20
むあ文庫の本2冊目は、八島太郎作「あまがさ」(福音館書店/1963年初版)です。
何度読み返しても胸に迫る絵本です。
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3歳の女の子、モモが誕生日にプレゼントされた長靴と雨傘。この雨傘を中心に起こるモモの気持ち、発見、小さな決意が描かれています。生まれて初めての待ち遠しい雨、初めての傘、初めて聞く雨粒の音、降り止まないでほしいと願う気持ち、大人の人みたいにまっすぐ傘をさして歩こう、という小さな決意が自身の遠い記憶と重なります。この物語の語り部は、モモが生まれて初めて傘をさした日のこと、初めてお父さんお母さんと手をつながないで一人で歩いた日のことを語っています。モモにとっては忘れてしまうような一日の物語は、私自身が忘れてしまったいつかの一日の物語のようで、今までに過ぎ去った膨大な数の「一日」、物語があったことを想像します。私が生まれる前、1963年に出版されたこの小さなひとつの物語は、今を生きる私にたくさんの物語の存在を教えてくれます。